『月の見えない夜』

先一昨日(9/25)が「中秋の名月」だったが見れず…いや見ていられず、かつ今年は暦上の「中秋の名月」(所謂「十五夜」)と天文学的な月齢で言う「満月」とが実は一致していなくて、その満月が昨日だったと言う事で、月にちなんだカクテル遊びを試みた。


・・・何か、そういうことにちなんだことでもしていないと、自分が何かに押し潰されそうで、そういう恐怖から逃れたくてたまらなかったのだろうと分析している。


本当は行きつけのバーのマスターが、今から11年前の今頃に僕からのリクエストで考案してくださったオリジナルカクテルを、真似して作ろうと思っていた。
レシピは頭に入っていたが、ブランドと比率までは憶えていなかった。
前日にバイオレットは買って来ておいた。
他には触媒を除いては揃っていると思ってた。
昨晩帰りにその触媒を、\100ショップで買って来ようとしたが、残念ながら色違いしか在庫してなかった。
ならば何か食品で代用かなと考えていたが、うまいものがみつからない。あと、まともなカクテルピンが無いな、お弁当用のプラスチック串で代用かな…と。
帰宅途中に空を見上げたら、分厚い雲が凄い勢いで流れていくのが見えた。満月は時折、雲の切れ間から覗けることはあっても、残念ながら長いことはっきりと見えるような事は無かった。
帰宅して試作。色を出すにはバイオレットを多めにしなければ再現できず、かといって入れすぎると甘さの方が目立ってしまいバランスを欠く。
確かマスターも「色を出すためにリキュールの銘柄は普段と変えた」とおっしゃってたっけ。11年前にそのボトルを見てはいるんだけど、確かにいつも棚の上に並んでいたフラスコではなかった、しかし見慣れないボトルではあった。ルジェのようでもありサントリーのようでもあったが何せ記憶が定かではない。
でも手持ち材料で初志貫徹はできないのかと調合を…減ってゆくミニチュアボトルの残量。
…惨敗。

もう真似は諦めた、自分なりにやってみようとレシピ変更を決意。
他に手持ちで色を出せる材料は?…ルジェのカシスぐらいか。混ぜてみよう。…おお、すごくいいじゃん。あわせるフルーツは変えた方がいいな。
今回飲んで貰いたかった相手の好みは?スタイルは?強さは?
これでまずショートからロングに変更、但しタンブラーが出てないのでロックグラスで代用。基本シェークだけどソーダ割にしよう、で炭酸も買ってこなきゃ。そして…
カシスオレンジが好きだったよな。
これで決まった。ベースのスピリッツもウォッカに変更。もはやオリジナルと共通したコンセプトはカラーイメージ以外何も無い。
もう一度だけ買出しに出て、再度ショットグラスに試作。できた!
…既に時間切れだったが、7分だけ時間を貰った。ロックグラスに氷を、シェーカーに炭酸以外の材料を入れて片手に持ち、もう反対の手に炭酸をぶら下げて、部屋に向かった。




もう、手持在庫だったリキュールのミニチュアボトルを一本使い切る寸前だったので、台所に戻ってきてから同じ物をもう一杯は作れなかった。補給してこなきゃ。
結局、バイオレットも、触媒も、使わなかったな。

『おいしかった。飲みやすかった』『オリジナルだよね、名前は?』
触媒がないのと、分厚い雲に阻まれて見えなかった満月を悔やんで、「月の見えない夜」と命名した。

『月の見えない夜』moonless night fizz
ウォッカ2:ブルー1:カシス1:フレッシュオレンジ4
シェークしてグラスに注ぎ炭酸で割る

普通フィズというと、お酒とレモンと甘味付けに砂糖がちょっと入る、これをシェークして炭酸で割る、というのが定説だったと思うんだけど、果物をレモンからオレンジにして充分甘いので砂糖はなし*1

…あ、スフィアロックアイス使えば、無理に「月のない」なんて言う必要もなかったな!w

*1:つーかダイエット中って事もあるしw