何も足さない、何も引かない。

山崎蒸留所
日本初のウィスキー製造所。
1923年、サントリーの創業者鳥居信治郎が興した、国産ウィスキー事業第1号の場所。
千利休茶の湯に使ったといわれる上質の水、それを育む豊かな緑の地。その山のふもとにあります。
時間が無いのでタクシーで駆けつけて、コース見学の時間までもう3分と切羽詰ったところで腹痛をもよぉしてトイレに急行。…遅刻しますた(ノ∀`)タハー。
あとから係員さんが迎えにきてくれて、見学コースに説明の途中から合流。仕込み曹の説明がほとんど聞けなかった;;。
でもって、隣の立物に移って、蒸留釜(still pot)。
仕込み曹で発酵させた麦汁を加熱して沸騰させ、沸点の低いアルコール分から取り出す作業。だもんで、この建物の近くに来ると、これがウィスキーの元なんだと言わんばかりの麦汁の香りでムンムンしてます。
大麦を原料とするモルトウィスキーは、単式蒸留器で2回蒸留する*1とのこと。山崎蒸留所では、見学コースの通路をはさんで左側にならんだ釜が1回目、で取り出された成分は再び冷やされて液体になって、それを今度は右側に並んだ釜で2回目の蒸留を経て、ウィスキーの原酒(「ニューポット」と呼ばれている)になるんだそうです*2
ここ山崎蒸留所では、形が様々に違う蒸留釜が並んでいて、同じ原料を同じ時期に仕込んでも、違う蒸留釜を使って加工されることで、違った出来上がりになるんだとか。
また奥の建物に移って、今度は樽詰め所。大きくて重たい樽、480リットルだそうで。これに原酒を詰めて、倉庫で長期熟成すると、シングルモルトウィスキーの出来上がり。2Fが倉庫で、驚いたことに「全く温度管理をしていない」とのこと。四季の気候変化を与えてやることが、樽熟成の要素の一つでもあるとかで、当然倉庫の入口に近いところにあったり奥まったとこにあったり、下の方に積まれてたり上の方に積まれてたりするだけでも、保存環境が微妙に異なってくるので、それでまたちょっと違った出来上がりになるんだとか。
で、そうやって樽ごとにいろいろと個性の違うウィスキーが出来上がったのを、そのまま瓶詰めすればシングルモルトですが、ベテランのブレンド技術者が様々な樽から調合をおこなって、サントリーのウィスキーとして世に送られていくわけだそうで。奥が深い。
見学コースの最後は、おまちかね試飲会。
買えばめちゃめちゃ高い山崎12年だとか響17年だとかが、コース見学者は何とタダで飲ませてくれます。
最初の一杯は、山崎12年をハーフロックかソーダ割り、2杯目は山崎12年と響17年のどちらでも好きな飲み方で飲ませてもらえます。
2杯目は響の方をストレートで貰ったんですが、この時のグラスが、実際にブレンド技術者が業務で使っているのと同じテイスティンググラスだそうで、普通のショットグラスよりはだいぶ大きくてチューリップのような形をしていて先がちょっとつぼまってから開いている独特の形状。ワイングラスやブランデーグラスのように、香りをよく評価するための構造なんだな、さらに足がついているのもワイングラスのように手の温度を伝えにくくするための構造なんだなと理解できる。同じ物はここのショップで売ってるとの事で、マニア心くすぐられるものの、これ買って帰ったらグラス棚がはちきれること明白なので見送り。*3
以上で1時間のコース見学は終わり。
そのあと、グッズショップでおみやげに、同僚の洋酒好き2人に限定のシングルモルトで安い瓶(だけどシリアル番号入り!)\1050が山崎12年のミニチュア\630だかベビー瓶だかよりも「飲む用」にはいいだろうと思ってチョイス、あとはみんなに分けるように「いかにもおみやげ」ってチョコレート。それから実家の親父に限定樽出し15年の小さなボトル(これが一番高い)、自分のコレクション用にミニチュアボトル3本セット、それからちび用に古樽材のリサイクル積み木パズルを買った。
そして最後に!コース見学の途中にあった、蒸留したての原酒(ニューポット)を試飲コーナーでトライ。
こいつはすげぇぜ!!
本当は2杯飲もうと思ってたんだけど、この1杯で満足してしまった。
蒸留したばかりで熟成前の、アルコール度数70度ぐらいの液体。でも麦の雑味香りを思いっきりぎゅーっと凝縮した、というパワーを秘めている。これが樽の中で熟成されると、ああもなるのかと。圧倒されまくりで2杯目を飲んでもマトモなテイスティングにならないと思って、おしまい。
でも、そこ試飲価格安いんですよ、1杯\100からですよ。行くところ行って飲んだら千数百円とかするのが、\100とか\200とかですよ、よよよ…。もっとゆっくり行くべきところでしたね…。
グッズショップで時間を使いすぎたのと、ちょっと連れに不慮の事態が発生したこともあって、その辺で切り上げて山崎駅に引き返し。

*1:蒸留酒の中でも、ブランデーとか焼酎とかは1回だそうで。

*2:山崎には無いけど、モルトウィスキー以外によくアメリカに多く見られるグレーンウィスキーなんかだと連続蒸留器で作られる、んだそうな。サントリーでは愛知県の知多蒸留所(子会社のサングレイン(株)管轄)なんかがグレーンウィスキーを作ってるそうです。

*3:事実、ミニチュアボトル3本セット(山崎12年の蒸留所限定ラベル・響17年・ロイヤル)をコレクション用に買って帰ってるので、棚がはちきれたw。